日本では少子高齢化が進んでいます。
今後高齢者の割合が増えて、高齢化社会が加速することは誰の目にも明らかですね。
もちろん長生きは良いことです。
良いはずなのですが、日本では歳を重ねていくことがネガティブな方向にとらえられていることが多いようです。
様々な経験を重ねてきた方々の言葉や技能などがもっと活かせる社会を作っていきたいですね。
高齢化社会が加速すると、加齢に伴う退行変性を基盤とした骨や 関節の病気の人が増加することは容易に想像できます。
変形性膝関節症や変形性脊椎症などの病気がそれにあたります。
Contents
病気や怪我の予防
中高年や高齢者の方々は、これらの病気を予防して他者の介護が必要にならないようにしたいですね。
長生きというだけでなく、健康的な心身を維持・延長して生活の質(QOL)の高い生活を続けていきたいものです。
健康な心身維持するためには適切な食事と適度な運動をすることが必要です。
生活習慣病などに対する中高年の健康スポーツと高齢者の転倒予防を目的とした運動は今後とても大事なテーマとなります。
肥満や生活習慣病の予防や治療のために、ウォーキングを始めてから膝に痛みを感じるようになったという方にお会いすることがあります。
せっかく始めたウォーキングが痛みを作ってしまうのはなぜなのでしょうか?
このような方々はお話を伺ってみると、急に始めた方が多いですね。
知人や友人に勧められたり、健康診断でメタボを指摘されたり、メディアから情報を得たりしています。
「とにかく何か始めなければ」、と焦って突然長い距離のウォーキングを始めてしまうようです。
普段から歩いていない人が突然長距離を歩いてしまうと「歩く」ことが、過剰な負荷になります。
また既に変形性の関節症が始まっていた方は、突然の運動に体が対応できません。
最初のうちは生活の中に「歩く」とういことを取り入れるところから始めてみましょう。
体と相談しながら、徐々に進めていくことが大切です。
膝を動かすときには、その靱帯と半月板によって、大腿骨が脛骨の上を転がりながら滑るようにして動いています。
このような構造のため膝関節は単に屈伸運動だけでなくて、回旋運動をすることも可能になっています。
また関節を動かしながら安定させるためには強力な筋肉が必要です。
しかし膝関節ではこの筋肉の付着部が関節運動の中心軸に近いため、力の伝達の効率化と安定化が劣っています。
膝関節は他のどの関節に比べても高度な負荷をうけ、最も酷使される関節です。
変形性関節症ってどんな病気?
変形性関節症は、関節軟骨の進行性の変性病変を主体とした骨の変形性変化として定義されます。
難しいですねーーー。
とくに体重を支える関節を侵す病気で、関節軟骨の変性と摩耗による荒廃がみられます。
関節の縁には骨が新しく生みだされているところがある。
摩耗によって荒廃している場所と反応して骨が増殖しているところが混在していることがよく観察されます。
さて、変形性関節症では、先行する全身的、遺伝的あるいは内因性の軟骨の障害に加齢や機械的要因が加わります。
このためにコラーゲン線維の断裂や軟骨基質の破壊を生じ発症します。
これまでに、変形性膝関節症の発生や進展に関するいろいろなリスクファクター(危険因子)について検討されてきました。
年齢、女性、肥満、外傷の既往の4つの項目については様々な報告でほぼ一致しているようです。
変形性膝関節症の原因と分類と症状の特徴
明らかな原因がなく加齢に慢性的な機械的刺激が加わって発症するものを一次性(原発性)といいます。
これに対し、外傷や半月切除後、あるいは炎症性・代謝異常疾患に伴って生じるものを二次性(続発性)と言います。
日本においては一次性変形性膝関節症が多いようです。
おもな病変部位により型が分類されています。
内側大腿脛骨関節が障害される内側型、外側大腿脛骨関節の外側型、膝蓋大腿関節の膝蓋型と、それぞれの混合型です。
一次性変形性膝関節症では内側型が多いと報告されています。
一次性変形性膝関節症は50~60歳代で初めて発症して、女性に多くみられます。
明らかな原因なしに発症して、初期には歩き始めや立ち上がりなどの動作の初めの段階で膝関節の内側に痛みを生じます。
しばらく動いたり歩くと痛みは軽快あるいは消失します。
しかし、病状が進行するにつれて歩き始めだけでなく、歩いている最中にも痛みを伴うようになり、歩行距離も徐々に減少してしまいます。
多くは内反膝変形を呈して、歩いている時に体重の乗った側の膝が外側に動揺することが見られるようになります。
膝関節の内側の隙間に圧迫すると痛みがあり、病状の進行とともに炎症を伴って関節が腫れて、いわゆる水が溜まるようになります。
非活動的になる結果、筋肉は萎縮して関節の動く範囲が制限されるようになってしまいます。
膝に痛みを起こすのは変形性膝関節症だけではありません
変形性膝関節症と見分けることが必要な他の病気があります。
膝蓋腱炎
膝蓋腱炎の主な原因は、その病名が示しているように腱の炎症と思われがちですが、本態は膝蓋腱の変性と考えられているようです。
膝蓋腱炎は単独で生じるだけではなくて、変形性膝関節症、半月損傷やタナ障害に合併して発症することがあります。
タナ障害
タナは滑膜ひだの1つで、胎生期に膝関節内に存在した隔壁の遺残であると考えられています。
膝蓋骨の内側の下方に存在し、日本人の約半数に認められます。
長時間の膝関節の屈曲によって膝前面あるいは前内側部に痛みを生じます。
また、膝関節の屈曲・伸展に伴い、膝前面にひっかかり感(弾発現象)や軋轢音を訴えることもあります。
半月損傷
半月は線維軟骨からなり、内側半月はC字状、外側半月は環状の形をしています。
半月は、潤滑、衝撃吸収、荷重の伝達および関節の安定性に寄与しています。
半月はおもに関節液によって栄養されていますが、関節包に付着する辺縁の25~30%には血行が存在します。
したがって辺縁部の損傷では治癒する可能性があります。
大腿骨顆部骨壊死
明らかな原因なしに発症する特発性骨壊死と、他疾患あるいはステロイド剤の内服に伴って発生する二次性骨壊死に分けられます。
特発性骨壊死の多くは大腿骨内側顆に限局して生じようですが、二次性の骨壊死では外側顆を含めより広範囲に病変が及ぶようです。
50~60歳の女性に好発して、発症初期には突発的な激痛を膝関節の内側に生じ、夜間の安静時にも痛みを訴えることがあります。
またしばしば内反膝変形を伴っているようです。
以上が膝に痛みがある場合に見分けることが必要な病気の主なものです。
これらは当然専門的知識と相応の経験がなければ判断できません。
よくある痛みと軽々に判断せずに専門機関に相談しましょう。
どのように治療すのでしょうか?
保存療法
運動と食事
関節に痛みがあると、かばって力を加えなくなり、その結果筋力が低下して膝を不安定にする要因になります。
そのため軟骨の摩滅が進んで、さらに痛みが増強するといった悪循環に陥ることがあります。
このような悪循環を解消するため、痛くない方法で行える運動が必要です。
これまで指導されてきた運動は、膝を伸ばす筋肉(大腿四頭筋)の強化に偏っていました。
太腿の裏側にある筋肉(ハムストリングス)は膝の関節のコントロールの大切な役割を担っています。
単純に筋力を強化するだけではなくて、筋収縮の適時性や運動連鎖を考慮した運動が必須です。
さらには、そのような症状を作り出した生活習慣の工夫も必要です。
また、体重コントロールや必要な栄養の摂取についても十分な計画が必要です。
薬
治療薬としては、日本国内では消炎鎮痛剤(内服薬と貼布剤)とヒアルロン酸関節内注射が、最も頻度が高く用いられています。
手術療法
保存療法ではで十分な効果が得られずに、痛みなどによる歩行障害によって日常生活に支障をきたすようになることもあります。
そのような場合は手術を行うことが検討されます。
お薬や手術に関することはこちらを参考にしてください。
まとめ
変形性膝関節症は、年齢、女性、肥満、外傷の既往の4つの項目が危険因子となる病気です。
普段から食事と運動に気をつけて、痛みのない生活をしたいですね。
でも、もし痛みを感じたら膝に痛みを起こす病気は様々ですから、専門機関に相談しましょう。
変形性関節症一般については、変形性関節症とは何が原因の病気で、年齢は何歳くらいからなりやすいでしょうか?
変形性股関節症については、変形性股関節症はどんな症状があって、そして治るのでしょうか?
それぞれ参考にしてください。
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