血糖値が上がる(糖尿病)のは、メタボを作る生活習慣が関係している

あなたとあなたの家族の現在と過去に糖尿病の方はいますか?

過去というのは糖尿病の中には遺伝性が指摘されているものがあるという意味です。

日本人は遺伝的にどうも糖尿病になるリスクが高いようなのです。

そもそもなりやすい上に自分の家系の中に糖尿病の人がいたとなると、ちょっと気にした方がいいかもしれません。

その上健診でメタボを指摘されてしまい、生活習慣の指導を受けることになったという人はさらに気をつけなければいけません。

糖尿病はその名前からして、ちょっと誤解されやすい病気です。

これまだこの病気の詳細がわからなかった時代につけられたのです。

また、糖尿病は糖尿病によってもたらされる身体への様々な影響が問題になります。

糖尿病そのものははっきりした症状を示さずに進行するため、サイレントキラーと言われています。

糖尿病の背景には慢性炎症があることがわかり、糖尿病は二重の意味でサイレントキラーとなったわけです。

 

糖尿病についての誤解を解きましょう

「糖尿病」という字と音感からくるイメージから誤解が生まれています。

尿の中に糖が出る病気。

ただこのように受け取られてしまって、「それのどこが問題なの?」と問題意識を持たない方もいらっしゃいます。

尿の中に糖が出ていても怖いとは感じないし、実際になんの症状もないのです、はじめは。

痛くも痒くもないのです、最初は。

本当に怖いものは分からないのですね。

じわじわと全身を蝕んでいきます。

サイレントキラー と言われる所以です。

 

さてその糖尿病とは、高血糖が慢性的に続く病気です。

糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの作用が不足して、慢性的に血糖値が高くなる状態をいいます。

インスリンの作用が不足」というところが大事ですが、これについては後ほど書きます。

糖尿病で亡くなる方は、全世界において10秒に1人とされています。

自覚症状がないことが最も危険な特徴です。

でも放っておくと、血管が弱って詰まって破れたり、目が見えなくなったり、腎臓も弱ったり、様々な病気の元になります。

ここまできてしまうと、もう痛くも痒くもどころではなくなります。

糖尿病を指摘されたら真剣に向かい合いましょう。

糖尿病について

ちょっとお硬いお話しです。

平成28年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。

総務省統計局の令和元年8月1日現在の日本の総人口の確定人数は、1億2621万9千人です。

なんと約1/6です。

6人に1人の割合で、糖尿病有病者または糖尿病予備群です。

糖尿病が強く疑われる者の人口に対する割合は男性16.3%、女性9.3%であり、年齢が高いほど糖尿病有病者の割合が高くなる傾向にあります。

また糖尿病有病者の割合は最近20年間で増加傾向にあります。

詳しい統計の結果は厚生労働省:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果をご参照ください。

 

さて先ほど、糖尿病とは、高血糖が慢性的に続く病気、と申し上げました。

高血糖が慢性的に続く理由によって種類が分けられています。

糖尿病の種類

以下のとおり、いろいろな種類があります。

1型糖尿病: 膵臓の中のインスリンを作るβ細胞という細胞が破壊されるタイプで、通常はインスリンが欠乏する状況に至ります。

2型糖尿病: インスリンの出方が低下する場合と、インスリンの効きが悪くなる場合とがあります。

その他の糖尿病: 遺伝子異常があることが証明されたものや、ホルモン異常によるものなど、糖尿病を発病した原因がはっきりしているもの。

妊娠糖尿病: 妊娠中に血糖値がある基準以上に高くなる場合。

先ほど「インスリンの作用が不足」と言いましたが、1型はそもそもインスリンの量そのものが少なくなってしまって、作用が不足する。

2型はインスリンは分泌されているけれども効きが悪くなって作用が不足する。

1型は自己免疫疾患で、2型は慢性炎症が背景にあるとされています。

どのように判定されるのか?

糖尿と言いますが、判定は血液の中に含まれているブドウ糖の量で行われます。

検査はどのように行われるのでしょうか?

1~4のいずれかが確認された場合は「糖尿病型」と判定されます。

別の日にもう一度検査をして、ふたたび血糖値に異常があって糖尿病型と診断された場合、「糖尿病」と確定診断されます。

1 早朝空腹時血糖値126mg/dL以上

2 75gOGTT2時間値200mg/dL以上

3 随時血糖値*200mg/dL以上

4 HbA1Cが6.5%以上

5および6の血糖値が確認された場合には、「正常型」と診断されます。

5 早朝空腹時血糖値110mg/dL未満

6 75gOGTT2時間値140mg/dL未満

上記の「糖尿病型」「正常型」いずれにも属さない場合は「境界型」と判定されます。

詳しくはこちらを参考にして下さい。糖尿病の検査

糖尿病で怖いのは合併症です

糖尿病による合併症は動脈硬化などの血管の病気、手足の感覚低下や自律神経障害、視力の低下、腎臓の機能低下などです。

糖尿病を治療せずに放っておくと、これらが悪化して、手足の先がくさってしまったり、失明したり、腎不全になって透析を受けなければならなくなることもあります。

また、脳梗塞心筋梗塞にもかかりやすくなります。

タバコを吸っているとその危険性がさらに高くなります。

合併症についてはこちらが参考になります。

PDFにまとまっている資料はこちらです。

慢性炎症と糖尿病 インスリン抵抗性とは?

慢性炎症の状態にある体の中では、ボヤのように小さな炎症の状態が続いています。

(慢性炎症については、「メタボは様々な病気のリスクを上げる〜そして静かなる殺し屋を招く〜」を参考にして下さい。)

炎症があると炎症性サイトカインが産生されます。

炎症性サイトカイン(サイトカインについて詳しく知りたい方は、こちらが参考になります。)は何種類もあります。

炎症性サイトカインは、体に異物が侵入してきた場合に警報を発する役割を担っています。

しかし、炎症が慢性的に存在すると、炎症性サイトカインが必要以上に作られて、他の細胞に影響を及ぼします

炎症性サイトカインは様々な役割があります。

役割の一つとして、周囲の細胞に働きかけて、インスリンに対する反応を悪くします。

インスリンは細胞内へのグルコースの取り込みを促して、血糖値を下げる働きのホルモンなので、結果的に血糖値が高くなるということになります。

これがインスリン抵抗性です。

糖尿病になる手前の状態を作り出しています。

肥満(メタボ)の人の脂肪細胞の中で持続的な炎症が起こることで、このような状態になっていることがわかってきています。

これらの状態が2型糖尿病の背後にあるようです。

炎症性サイトカインには様々な種類があり、それらが相互に複雑に影響しあっています。

連鎖的な影響によって、炎症性サイトカインが増産され、結果的に高血糖という状態を作り出します

ある種の炎症性サイトカインは、血液中に増えてしまった遊離脂肪酸と一緒に膵臓のβ細胞にストレスを与えてインスリンの産生量を少なくしてしまいます。

結果的にこのことも高血糖を作り出します。

糖尿病と食事の質

肥満状態になると脂肪細胞の中で炎症が起こり、インスリン抵抗性が作り出されます。

しかし、肥満に至る過程の中でも脂肪組織で炎症が生じて、インスリン抵抗性が生じていることも明らかになっています。

高カロリー食は脂肪組織での白血球のある種類(マクロファージ)の活動性を上げて、インスリンの抵抗性を作り出しているのです。

ここで問題になるのは、カロリーそのものなのでしょうか?

実験的に作られた環境と私たちの実生活とは、差があると思います。

問題となる高カロリー食は、エンプティーカロリーです。

エンプティカロリーとは、空のカロリーという意味ではありません。

カロリーだけはとても高いけれど、栄養はほとんど空っぽという意味です。

脂質や糖類がほとんどで、ビタミンやミネラルといった必要な栄養素が極端に少ない食べものや飲みもののことを言います。

エンプティカロリー食品を食べ続けると、肥満や便秘、生活習慣病など様々な病気の原因となります。

肥満や生活習慣病となるまでには相応の期間を要しますが、インスリン抵抗性は始まっています。

糖尿病の準備が始まってしまうのです。

ジャンクフードやカップ麺などはエンプティカロリー食品の代表です。

精製された砂糖をたくさん使用した甘いお菓子、ポテトチップスどのスナック菓子もエンプティカロリーの食品です。

炭酸ジュースなどの清涼飲料水もエンプティカロリーの飲み物になります。

まとめ

糖尿病と慢性炎症の関係は、2型糖尿病においては、肥満が引き金になることが多いようです。
しかし、肥満に至る過程の途中でも、既に糖尿病の特徴のインスリン抵抗性が高カロリー食の摂取で起こっています。
あなたの体に起こることは、あなたの選択の結果の積み重ねです。
選択方法を変えて、別の結果を手にしましょう。

この記事を書くにあたって、以下の書籍を参考・引用させていただきました。

非常に難しい話をわかりやすく書いてくださっています。

ご興味のある方はご一読をお勧めします。

免疫と「病」の科学  宮坂昌之・定岡恵 共著  講談社

新しい免疫入門  審良静男・黒崎知博 共著  講談社

 

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