人間は食物を摂り、これをエネルギーに変えている。
人間は生存のために酸素が必要だから空気を吸入する。
エネルギーに変換した後は、その結果生まれた炭酸ガスその他の老廃物を速やかに体外へ排出する。
呼吸は生命存続の源であり、これがうまくいかないと、体のあちこちに故障を起こすことになります。
困ったことにさまざまな原因から現代人にはそうした人が多いようです。
呼吸が浅く、しかも無意識に起きているはずの深呼吸(溜息を含む)も起きにくくなっています。
このような呼吸は改善する必要があります。
改めて呼吸とは?
人間が生きていく上で欠かせない身体の働き。
それが呼吸。
人間は酸素がなければ生きていくことができないのですから、当たり前と言えば当たり前です。
呼吸には外呼吸と内呼吸があります。
通常私たちが呼吸と言うときには外呼吸を指しています。
それでは内呼吸とは何でしょうか?
外呼吸とはご存知のように肺で行われる酸素と二酸化炭素のガス交換を言います。
これに対して内呼吸とは細胞において行われる酸素と二酸化炭素のガス交換をいいます。
つまり呼吸とは、この2つの呼吸が十分に行われて、初めてその目的が果たされます。
どちらに支障が出ても、人体の正常な機能が果たされなくなります。
ストレスと呼吸
現代のようなストレス社会では、さまざまなストレスをうまく解消できずに、人々は年中、イライラ、くよくよして、心身を緊張状態においています。
体は肺に吸い込んだ酸素を全身の毛細血管の端まで配給しようとします。
でも、緊張した状態がつづいていると、通路が収縮してカチカチに硬くなっているので、十分に運べなくなります。
それどころか全身に生じた炭酸ガスや老廃物を送り返すこともできなくなってきます。
そして、あたかも掃除をしていないストーブが酸素が足りずに、不完全燃焼を起こすように、体のあちこちにも不完全燃焼が起こるようになります。
このことが様々な病気を引き起こす原因になります。
習慣が作り出したからだの使い方ー癖
最近はマインドフルネスや瞑想などのブームで、呼吸に関心を持つ方も増えてます。
でも、そもそも自分がどのように呼吸をしているか、自分の呼吸を観察している人は極わずかだと思いす。
あなたはどうやって、息を吐いて吸っていますか?
子供はコピーの天才です。
赤ちゃんの時から、間近で見ているものをどんどんコピーして、自分の体の使い方を作り上げます。
あなたもそうしてきましたし、あるいはもうコピーされる側になっているかもしれません。
あなたにお子さんがいれば、よく見てください。
見事にいろいろコピーしていますよ。
初めは真似ているだけですが、ずっとやっているとそれが自分のやり方として定着します。
あなたもコピーを自分のものとしてきました。
人はいちど身に付けた習慣を変えようとすると非常に苦労します。
呼吸も生まれた時から自然に行っている動作なので、それを変えるのはかなりの根気と努力が必要になります。
浅い呼吸と深い呼吸
浅い呼吸と深い呼吸、よく言います。
この2つの差は何でしょう?
深い呼吸とは、その人が持っている胸の広がりを最大限に使って息を吸って吐くこと。
浅い呼吸とは、その人が持っている胸の広がりを偏った使い方によって、とても小さく息を吸って吐くこと。
肺は自ら膨らむことができません。
肺を覆っている胸郭が広がったり縮んだりすることで受動的に肺は大きくなり、肺そのものの弾性で小さくなります。
つまり肺の中にどれだけ多くの空気が出入りするかは、胸郭と横隔膜の動きに左右されます。
胸郭とは、肺を囲んでいる籠です。
右と左の肺は、背中にある脊椎という背骨と、左右それぞれ12本の肋骨と肋骨に付いているいろいろな筋肉で囲われています。
肺を囲んでいるかご(胸郭)のなかには、肺以外に心臓、心臓に出入りする血管や食道、気管と神経などがあります。
そして、横隔膜は腹部と胸部をわけている筋肉で、呼吸を行う主要な筋肉です。
これらを構成している筋肉や関節が硬くて動きにくくなれば、肺に出入りする空気は少なくなります。
ここで知っておいてほしいことは、ある一定の時間で出入りする空気の量が同じ場合に、浅い呼吸と深い呼吸を比べると浅い呼吸の方が非効率であると言うことです。
分かりにくいですね。
例えば、1分間の空気の出入りの総量は同じで、浅い呼吸も深い呼吸も6リットルとします。
浅い呼吸は、300ml×20回=6,000ml、深い呼吸は500ml×12回=6,000ml です。
肺でのガス交換は、肺にある肺胞というとても小さな場所で行われます。
ここ以外では行われません。
鼻や口から空気を吸い込んで、この肺胞に到達するまでは、ガス交換はできないのです。
肺胞に到達するまでの管の容積がおおよそ150mlあると言われていて、これを死腔(しくう)と言います。
(実際には解剖学的死腔と生理学的死腔があります)
さて、1回の呼吸の量の内、死腔の量は実際のガス交換には関与していません。
そこで、先ほどの計算は以下のように変わります。
浅い呼吸、(300mlー150ml)×20回、なので3,000mlが実際のガス交換に関与しいた量です。
一方で深い呼吸は(500mlー150ml)×12回、なので4,200mlとなります。
たった1分間で、1,200mlの差がついてしまいました。
1,440分(24×60分)×1,200mlでは1,728,000mlです。
1日全く同じ呼吸をしたと仮定すると、1日量の差は、なんと1,728ℓにもなる計算です。
浅く速い呼吸は、とても非効率的で疲れます。
呼吸のコントロール
人間の体の働きの中では自動操縦が行われているものがたくさんあります。
例えば心臓の拍動、消化器官の動き、血管の収縮、呼吸もその一つです。
しかしこれらの中で呼吸だけが意識によってコントロールすることもできます。
その意味では呼吸は意識と無意識をつなぐ架け橋かもしれません。
呼吸は行うものではなくて、行われた結果として現れるのが呼吸です。
先ほどお話ししたように、肺を覆っているのが胸郭でした。
胸郭は骨・関節・筋肉などによって構成されています。
これらが、完全に協調して動くことで呼吸が行われます。
呼吸そのものをコントロールすることはできません。
呼吸そのものをコントロールしようとするのではなく、呼吸という運動を構成している体の使い方を変えることで間接的に呼吸をコントロールするのです。
深呼吸をしましょうと言うと、多くの人が両手を横に広げ顔を上に向け息を吸います。
反対に息を吐くときには両腕を胸の前で交差するようにして胸を締め、背中を丸めます。
日本で行われてきた体育教育の成果でしょうか?
年齢に関係なく、多くの方が、同じ動作をします。
この動作を見ると両方とも力が入っています。
深い呼吸をするためには、筋肉の必要以上の緊張を緩める必要があります。
ことさらに体を大きく動かして、呼吸を行う事は、不必要な筋肉の緊張を生みます。
また多くの人が息を深く吸い込む時に、鼻孔からこめかみに向かって垂直方向に空気を吸い込もうとします。
このような意識はかえって喉の前面の緊張を生み出します。
呼吸を改善する、新しい方法の提案です。
まず自分の意識を自分の後方の斜め上に置いてください。
この後ろ斜め上のやや高い位置から自分を見ています。
そして息を吸う時に鼻腔から垂直方向ではなく、後頭部の毛の生え際、いわゆる盆の窪に息を吸うように意識してみてください。
そうです、吸い上げるのではなくて、鼻孔から水平方向に息を吸います。
そして手や腕は動かさずに、頭も殊更に動かさずにゆったりとします。
風船が四方八方に均等に膨らんでいくように自分の体の全てが膨らむようにイメージして息を吸ってください。
息を吐くときにはこれと全く逆に、盆の窪から鼻孔に向けて空気が出て行きます。
体全体は風船が均等にしぼむように、空気が抜けた分だけ縮みます。
そしてこの全体の状態を自分の後方斜め上に置いた意識が見ています。
いかがでしょうか? この意識を持つ前は、おそらく自分の体の前面の動きに、注意が向いていたことと思います。
しかし、後方斜め上の意識を持つことで、体の後面全体にも意識が向いたのではないでしょうか?
それによって体全体が立体的に奥行きを持つ存在になったと思います。
まとめ
浅く速い呼吸は、とても非効率的で、疲れます。
ゆったりと大きく深い呼吸を心がけましょう。
呼吸をしている時、自分の体がどのように動いているか、後方斜め上から眺めてみましょう。
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