最近増えている逆流性食道炎と食習慣の関係と対策

なんだか最近胸焼けがする。

口の中に酸っぱい水が出てくる。

食事をすると胸のところでつかえる。

みぞおちのあたりが気持ちわるい。

寝転ぶと食べたものが上がってきて、眠れない。

このような状態が続いていれば、それは胃食道逆流症かもしれません。

この病気は、1990年以降、日本において急激に増加しているようです。

その原因として、胃酸分泌増加、ピロリ菌感染者の減少、食事の欧米化、肥満の増加、ストレス社会等の関連が指摘されています。

逆流性食道炎は食道下部に炎症がみられます。

逆流性食道炎と同じ症状なのに、食道に全く炎症所見のない病気があることもわかってきました。

この病気は非びらん性胃食道逆流症と呼ばれています。

逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症を合わせて、胃食道逆流症と言います。

ここでは主に食習慣との関係とその対策をお話しします。

まず、胃食道逆流症の発生部位である食道の働きについてお話しします。

食道はのど(咽頭)と胃を結ぶ筒状の臓器です。食道自体には消化や吸収の機能はなく、口から入った食べ物や飲料を胃まで輸送する役割を果たしています。

食道は口と胃を結ぶ細い管で、喉に近いほうから頚部食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれる3つの部位に分類されます。

約25㎝の長さですが、口唇から胃の入り口までは約40㎝あります。

食道は食べ物を口から胃へ送る単なる管ではなく、食べ物が入ると収縮と拡張を繰り返しながら胃の方へ移動させます。

これは食道の壁に筋肉があり、食べ物が食道に入ると収縮と拡張(蠕動運動)を繰り返すためです。

食道の上端と下端にはそれぞれ上部食道括約筋、下部食道括約筋と呼ばれる括約筋という筋肉があり、これによって食物が逆流することを防いでいます。

胃について

胃は、食道に続く袋状の臓器で食べたものの殺菌、消化、貯蔵を行っています。

空腹時はぺちゃんこですが、食物が入ってくると風船のように大きくなります。

胃に食物が入ってくると胃液が分泌されます。

胃液は一回の食事で約500700ml分泌され(1日の分泌量は約15002500ml)、pHは1.0〜1.5の強酸性です。

胃が大きく動き(蠕動運動)、食物と胃液を混ぜ合わせることで塩酸や消化酵素の働きにより、食物の殺菌や消化が行われます。

なぜ、胃は食物を消化して胃自体を消化しないのでしょうか。

それは、胃の粘膜層をおおうように分泌される粘液のおかげです。

厚さが1mmにも満たない薄いベールである粘液層が粘膜表面を被い胃を守っています。

胃食道逆流症について

胃食道逆流症には大きく2つあって、1つは逆流性食道炎で、もう1つは非びらん性胃食道逆流症と呼ばれます。

びらんというのは皮膚や粘膜などにできる赤くただれた炎症部分のことで、食道にびらんがあるか、ないかでタイプが分かれます。

非びらん性胃食道逆流症は、食道にびらんが見られないため、長い間、逆流性食道炎の軽症型だと思われていました。

逆流性食道炎は高齢の方や肥満の人に多く、非びらん性胃食道逆流症は、若くてやせ型の女性に多い傾向があるようです。

食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋という筋肉がついています。

胃と食道の境がゆるんでいると、胃液が食道に戻りやすくなります。

健康な人でも食後には胃液が食道に戻ることはありますが、健康な人ではたとえ胃液が食道に逆流しても食道の動きによって速やかに胃に戻ります

には酸から粘膜を守る防御機能が働いていますが、食道には防御機能がありません。

胃液には胃酸や時には十二指腸から胃に逆流した胆汁、膵液が含まれています。

また、胃酸によって活性化された消化酵素も食道を傷つけます。

そのため、何らかの原因で胃酸が食道に逆流すると、食道粘膜は炎症を起こします。

逆流性食道炎の代表的症状として胸やけがあります。

これは、食後2時間ぐらいすると、酸っぱい胃液がお腹から口の方へ上がってきて、症状が続くと食べ物が胸につかえることが起きます。

胸やけはお酒を飲んだり、甘いものや油っこいものを多くとったり、からしなどの香辛料をとったあとに起こりやすくなります。

胸やけで夜間眼が覚めることもあり、胸部の灼熱感、あるいは症状が強いと胸痛として感じられ、時には狭心症などの心臓の痛みと間違われることもあります。

しかし、胸やけは起きあがって上半身を立てると軽くなり、さらに水を飲むと消えてしまう特徴があります。

これは食道に逆流した胃液が起立したり、水を飲むことで食道から胃の方へ送られ、胃液による食道粘膜への刺激がなくなるためです。

原因は何か?

下部食道括約筋が食道の下の部分を締め付けるので、胃の中のものが食道に逆流せずにすみます。

ところが胃に食べ物がたまってくると、食道を締め付けていた下部食道括約筋が緩んで、食べ物といっしょにのみ込んだ空気を胃の外へ出そうとします。

これがげっぷです。

このとき胃の中にたまった胃酸も逆流してしまうことがあります。

この逆流が頻繁に起こることが胃食道逆流症の主な原因になります。

非びらん性胃食道逆流症では食道粘膜が通常より過敏になっているために、少しの胃酸でも敏感に反応して胸焼けなどの症状を起こしてしまいます。

非びらん性胃食道逆流症は、胃酸の逆流に関わらず、食道の蠕動運動などの機能に問題があります。

また、精神的な原因によって症状がでる場合があることもわかってきています。

このような習慣の人は胃食道逆流症になりやすい

1:食べすぎ・早食いの傾向がある  

2:食べてすぐ寝る

3:高脂肪食が好き

4:アルコール・喫煙の習慣がある

5:肥満気味

6:前かがみ姿勢・猫背になりがち

欧米の食生活は、多少食道の下端部の筋肉を弛緩させる働きをもたらす傾向があるようです。

その結果胃の内容物が逆流しやすくなると考えられています。

早食い・食べ過ぎは、胃の動きを鈍くさせてしまいす。

脂肪の多い食べ物や甘いものをたくさん摂ると、胃酸が多く出て食道に上がりやすくなります。

タバコ、飲酒、コーヒーは、逆流性食道炎の発生を促進させます。

また前かがみの姿勢や肥満は、腹圧の増加につながり、胃液が食道に上がりやすくなります。

 

このほかには、ピロリ菌の減少が関係しているとも言われています。

ピロリ菌は慢性胃炎を引き起こし、胃酸を減少させます。

最近の若者はピロリ菌の感染率が低く、胃酸が多くなっていると考えられます。

これらが複数重なり合って原因となっていることが多いようです。

逆流性食道炎になったらどうするか?

症状を自覚したら、専門機関に相談することが一番です。

ここでは食生活の中で行える対策簡単にご案内します。

まずは食べ過ぎないことです。

一度に短時間で食べ過ぎると、胃が過剰にふくらみ、胃の動きが悪くなります。

少しの刺激で胃の中のものが食道に逆流します。

8分目、これがとても重要です。

ゆっくりよく噛んで食べましょう。

脂肪を摂取すると、コレシストキニンというホルモンが十二指腸から分泌されます。

このホルモンは食道と胃のつなぎ目にある、逆流を防ぐ筋肉(下部食道括約筋)をゆるめ、げっぷを起こしやすくする働きがあります。

それとともに、食べたものが胃から先に流れるのを、遅らせる作用もあります。

つまり、脂肪の摂りすぎは胃もたれの原因となり、げっぷが出るときなどに胃酸の逆流が起きます。

食事のタイミングですが、夜遅くなってからの食事は良くありません。

食べてすぐ寝転んでしまうと、逆流が起こりやすくなります。

胃食道逆流症によって起こる、食道の症状以外のもの

胃食道逆流症という名称から、食道のみの症状と思われがちですが、他の場所にも影響します。

その病気の治療をしているのに、なかなかよくならない場合は、もしかしたら胃食道逆流症が関係しているかもしれません

食道以外の場所に出る症状の主なものをあげます。

耳鼻口腔領域症状では、むし歯(歯牙酸触) 副鼻腔炎 反復性中耳炎。

咽喉頭症状では、喉頭炎 咽頭炎。

呼吸器症状では、慢性咳嗽、  喘息症状、  特発性肺線維症。

この内、慢性咳嗽について。

日本での慢性咳嗽の三大疾患は副鼻腔気管支症候群、アトピー咳嗽、咳喘息です。

欧米では後鼻漏症候群、気管支喘息、逆流性食道炎(胃食道逆流症)です。 

消化器の病気である逆流性食道炎(胃食道逆流症)が欧米では慢性咳嗽の三大疾患の一つなのです。

日本では、食道症状が多く数字に出ないのかもしれませんね。

食習慣の欧米化が進むとこれらの統計数値にも変化が起こるかもしれません。

効果が出ていないのに、漫然と咳止めの薬を飲み続けるのは良くありません。

専門機関に相談しましょう。

まとめ

食生活の変化によって、胃食道逆流症(逆流性食道炎・非びらん性胃食道逆流症)が急激に増加していま

適切な対策が問題を鎮静化します。

適切な治療を行うことが大切ですが、食習慣を見直して未然に防ぐことはもっと大事です。

小さな習慣の積み重ねが、今日と明日を作っています。

 

 

 

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