ストレートネックは原因か? 結果か? 考え方と対策!

ストレートネックとは何でしょうか?

体に良くない影響を及ぼす原因となるものでしょうか?

それとも、ストレートネックは何かの結果としての状態でしょうか?

これは両方とも、YESと言えます。

ストレートネックは生活習慣の変化とその変化に伴って損なわれてしまった身体機能の変化とによってもたらされた一つの状態です。

そして同時にストレートネックはそのことが次なる不快な現象の原因となります。

人の体はつながりを持ち、相互に影響し合う有機体です。

ある断面(問題)を見て、それだけに対策しても別の部位に他の問題を出現させることもあります。

脊柱と頚椎 構造と機能

脊柱は頚椎・胸椎・腰椎・仙椎・尾椎と呼ばれる椎骨が縦列して構成されています。(図1参照)

脊柱とは、いわゆる背骨です。

このうち、ストレートネックで問題視されているのは、頚椎です。

頚椎は7個の椎骨で構成されています。

図でもわかるように、頚椎は前方に凸のカーブを作っています。

これは生理的弯曲と呼ばれるもので、機能的にもこの生理的弯曲のおかげで、運動と支持と神経の保護という機能を果たしています。

頚椎はその一番上に頭を乗せています。

頭はとても重く、成人では5〜6kgの重量があります。

5kgのものを一日中持ったらものすごく疲れます。

首はそれを毎日やっています。

この重量を支えながら、大事な神経−脊髄神経や脊髄神経から出る末梢神経−を守り、頭部を自由に動かすことの全てを成り立たせています。

すごいと思いませんか?

人の体はとても上手くできていますね!

ストレートネックとストレートネックが作る次の不快なこと

さて、問題のストレートネックとは、上記の「頚椎は前方に凸のカーブ」の「生理的弯曲」がなくなってしまうことです。

もうお気付きのように、生理的な湾曲がなくなるということは、「運動と支持と神経の保護という機能」が損なわれてしまうことになります。

首の関節の運動が行いにくくなり、頭の重さを支えにくくなって、神経の保護の役割が果たしにくい状態になります。

このようなことが長い年月続いたらどうなってしまうでしょうか?

動きにくいところをなんとか動かそうとすることや動きにくことを他の部位で補おうとすることでそれらの部位の負担が増えます。

支えにくくなるということは、「首」を構成する骨、筋肉や靭帯などの負担が増えることになります。

神経の保護の役割が果たしにくくなるということは、重さや動きが神経を圧迫し、正常な流れ(神経伝達)を阻害することになります。

これらのことは、何を生み出すでしょうか?

とっても多くの不快なことを生み出してしまいます。

偏頭痛・顎関節の運動性への影響・目の疲労の増強・首のこり・肩こり・背中のこり・各部のこりによる痛み・手や腕のしびれ・手や腕の使いにくさ・手や腕の力の低下・めまい・吐き気・呼吸が浅くなる・睡眠障害など。

本当に様々な不快な状態を作り出します。

首には自律神経の重要な中継点があることも、多くの影響を出す要因です。

これの不快な状態のうち一つを持っている方もいれば、複数を組み合わせて持っている方もいます。

さらに事態を複雑にさせるのは、これに加齢による影響が加わることです。

加齢により、支える力は年々弱まり、持久力は低くなります。

また、回復する力も低下します。

しかし、頭の重さは変わらないので、支える側の負担は年々増えることになります。

原因となること

ストレートネックの原因についてよく言われていることは、スマホの長時間の使用やデスクワークによるものです。

目の高さよりも低いところにあるものを見ると頭は前傾します。

この姿勢が長時間続くと頭の重さを支えきれずに、頭全体が前方へ滑っていくように出ていきます。

首を前に曲げた状態から、顎を前方に滑らせようとすると再現できると思います。

スマホもパソコンも操作するために大きな動きを必要としません。

画面を注視しなくてはならないため、頭部の位置は固定されやすくなります。

このような姿勢を長時間続けると、この姿勢を支えている筋肉はずっと力を出し続けなくてはなりません。

筋肉は疲労しその位置を維持できなくなります。

やがて頭が滑るように前方へせり出します。

疲労した筋肉はそれでも収縮を強いられるので、固まっていきます。

こうした筋肉の過剰な使用が首のこりや肩こりを作り出します。

こうしたことを毎日続けることで、筋肉は緩むことができなくなります。

限界に達した筋肉は、もはや頚椎を正しい位置に保つことができなくなっていきます。

そして少しづつ一つ一つの頚椎の配列が崩れていきます。

こうして本来は生理的に前方へ弯曲していた頚椎の配列は崩れ、ストレートネックを作ります。

もちろんこれは一例で、スマホやパソコンだけが原因というわけではありません。

もともとその方が持っている構造上の特徴や筋肉の強弱など様々な要因があります。

何より「椅子」という発明が最悪でした。

最近ではスタンディングテーブルを使用している方もいると思います。

ただし、ただ立っただけでは解決にはなりません。

もちろん座ったままでいるよりは格段に良いですが。

またよく見かけるのは、車の運転姿勢で頭が前方へ出ている人です。

真横から見ると、頭半分ほど前に出ている方もいます。

このような方は、運転が終わると首・肩・背中が硬くなっていることでしょう。

運転による目の疲れも強いことと思います。

どのように対策するか

さてそれではどう対策すればよいでしょうか?

私たちを取り巻く環境は年々変わり、しかもの速度はどんどん速くなっています。

それに対して私たちの体の構造はそれほど速く変わるわけではありません。

現状の構造や機能で変化する環境に対応しなくてはなりません。

うまく対応できていないところで、体や心の不協和音が続き、不調を作り出しているようです。

それではまず先ほどの脊柱の図をもう一度みてください。

今問題になっているのは脊柱の中の頚椎に起こるストレートネックという現象とそれに伴って起こる多彩な不快な状態です。

図の頚椎の一番上には頭が乗っています。

頚椎は胸椎の上に、胸椎は腰椎の上に乗ってっています。

脊柱は下に向かうにしたがって大きくなっています。

支える重さに対して大きくなっています。

脊柱を乗せているのは骨盤です。

脊柱の生理的弯曲を私たちは生まれてから発達の過程で獲得します

ストレートネックを頚椎だけの問題として扱うと上記のような理由から失敗します。

ストレートネックも背景となる原因はおそらく何年もかけて作っています。

首だけに原因を求めるのではなくて、体全体の柔軟性、筋力、体の使い方を見直しましょう。

人の体は動くようにできています。

ただ動かずに固定するようにはできていません。

いくつかのお勧めできる運動があります。

うつ伏せから肘または手で上体を起こしましょう。

その状態を保って頭は水平を保ったまま左右を見ます。

もう一つは、四つ這いです。

椅子などを2つ置いて、四つ這いで8の字を描くように2つの目標物の間を進みます。

もちろんこれら2つの運動したかといって即座にストレートネックが解消されるわけではありません。

ストレートネックの予防には役立つと思います。

また既に医療機関で治療を受けている方は、これらの運動を行うことの是非を相談してみてください。

この他にも骨盤と脊柱の関係性の改善や呼吸方法からのアプローチなどもあります。

まとめ

ストレートネックは首(頚椎)だけの問題として扱うのではなくて、体全体の問題として対処する必要があります。

ストレートネックは一つの状態を表している言葉ですが、持続すると様々な不快な状態を作り出します。

一時的な手段に頼らずに原因となっている状態や使い方を改善することで不快な状態を解消しましょう。

 

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