体の使い方と脳の中の地図

私たちは自分の現在位置を確認したり、現在位置から目的地への経路を確認する時に地図を使います。

昔は紙の上に書かれたものでしたが、現代はデジタル機器上のアプリで簡単に確認できるようになりました。

地図が便利に使える前提となっているのは、紙にしてもアプリにしても地図と現実が一致しているということです。

地図が古くて新しくできた道が描かれていなかったり、もう既にない川が地図上にあると迷いやすくなります。

そうです、目の前にある景色と手元にある地図が一致していないと道に迷います。

実は私たちの脳の中にも私たちの体の地図があります。

この脳の中にある地図と自分の体の現在の状態が一致していれば、体はとても使いやすく道にも迷いません。

しかし地図の場合と同じように、脳の中にある情報と実際の状態が異なればどんなことが起こるでしょうか?

脳の中の私たちの地図

こんな疑問は馬鹿げているでしょうか?

 

あなたには体がありますか?

それがあなたの体だとどうして分かるのでしょうか?

時間と空間の中でどうやって自分の体の方向と位置を知るのでしょうか?

ついさっき(ほんの少し過去)あった手の位置と現在の手の位置が違う(あるいは同じ)となぜ分かるのでしょうか?

などなど、疑問はいくつもでてきます。

私たちの脳には私たちの体の地図があります。

この地図が正確であれば動きや使い方に間違いは起こりません。

この地図が不正確であれば、動きや使い方に問題が出ます。

日常的な動き使い方に問題があれば、その動きや使い方は体の各部の位置関係に影響します。

こうして体の使い方の「癖」ができあがっていきます。

発達とマネ(模倣)

多くの場合、ヒトは自分の頭を自分で持ち上げられないような状態から、おおよそ1年ほどで歩けるようになります。

この1年の間にヒトは歩くために必要な体の地図を作り上げていきます。

特別のケースを除き、この頃のヒトに間違った体の使い方はありません。

その後、マネをすることで間違った使い方を身につけていきます。

もちろん個体差はあります。

産まれてから、ヒトは自分の体の探索活動を行います。

その発達段階の中で少しずつ体の地図を作り上げていきます。

様々な新しい行動に挑戦しては、自分の中にある活動の可能性を広げていきます。

この時期に人は、「失敗」ということを経験しません。

うまくいかない方法の経験ともっとうまくいく方法の経験を重ねます。

エジソン的です。

十分な準備を重ね、立って歩くことに挑戦します。

転びます。

経験して、より転ばない方法を身につけます。

より良い方法があるだけで、「失敗」はありません。

そして自分と同じように活動する人を見ます。

その通り! 親です。

 

ここでごく大雑把な言い方をすればマネが始まります。

その多くは間違った地図を作り上げてしまっている大人です。

体の使い方の癖を習慣化したヒトです。

歩き方がものすごく似ている親子をよく見るでしょう?

話し方や口癖、何か物を取るときの動作や表情の作り方。

親子でとても似ますよね?

もう一つの強い影響は教育

「教育」の場面ではその目指すところにより、必然的に「良い」「悪い」や「正しい」「間違い」を示すことになります。

「良い」「正しい」は褒められ、評価が上がり、「悪い」「間違い」は叱られ、評価が下がります。

これらの内容や基準は、時代背景も手伝い社会的な要請によって決まります。

子供達は褒められ、高い評価を得るために「良い」「正しい」を身につけていきます。

実際には、絶対的に正しい、良い姿勢などありません。

そのときの活動に有効に働きやすい姿勢があるだけです。

 

「良い」「正しい」を身につけていない動物の動きはとても自由です。

選択の幅もとても広い!

しかし、多くの人は有効姿勢よりも、身につけた「良い」「正しい」姿勢を選択し、歪めていきます。

使い方の歪みは、地図の歪みを作り出します。

歪んだ地図に基づいて作られる運動のプログラムは少しずつ体を痛める原因を作り出します。

さあー、地図を作り直しましょう!!

 

 

 

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